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食欲のある男の子は三割はハンサムに見えるのよ

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 一昔前、ゲレンデでは男女とも5割り増しで見える、なんて言葉もあったけど、瀬尾まいこの「卵の緒」という本を読むと、どうやらタイトルの通りらしい。なるほど…となると、人前であまり食べない私の場合は、常に三割さっ引かれて見られている訳か…なんてアホなことを考えてしまう。

 昔、藤子F不二雄氏の短編作品で「気楽に殺ろうよ」という漫画があり、その世界では性欲と食欲における羞恥心が逆転しているという設定だった。しかし、考えてみれば、私の場合本当に性行為よりも食事の方が恥ずかしいという状態なのかもしれない。だって、いまだに多人数との食事は苦手で、1人でこっそり食事する方が好きだしね。性行為の方は、1人でしたくても出来ないし(笑)

 誤解しないでほしいのは、別に仲間と一緒に食事をするのがイヤだ…と言っているわけではなく、ただ何となく緊張してしまうのだということ。物理的に食べ物の好き嫌いが多いというのもあるが、それよりも、大勢で食事をすると、なんか沢山食べるのが恥ずかしい…って訳じゃないんだけど、ちょっと緊張してしまって、いつもの量がのどを通らなくなってしまう。なんでかというと、ハッキリいって私が小心者なんだと思う。

 でも、むしゃむしゃと食べる相手がいとおしく見える…というのは何となく判る気がするなぁ。私だって、自分の彼女が目の前で夢中になって食べ物にがっついている姿を見るのは悪い気がしない。考えてみれば、別に対象が人じゃなくても、ちながおいしそうに食事してるのを見ているのも好きだったりするし、案外みんなそうだよね。

卵の緒/瀬尾まいこ

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