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インク壺/増田れい子

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20110813_04.jpg 暮らしの手帖で連載されていたというエッセイ。奥付を見ると昭和63年11月に発行された本のようだ。つまり、昭和が終わるちょっと前の雰囲気がこの本には詰まっている。

 例えば「屋根」というタイトルの章では「屋根というのは、伝統的にその土地にもっとも豊富にある材料、草や木でふかれてきたものらしい」とあり、ああ、なるほどなと思う。また「ふかれて」という言葉もなんだか懐かしいような初めて耳にするような、そんな雰囲気だが不思議と意味はわかる。言葉って面白い。
 他「ポケット」という章では、「男たちが女達より敏しょうなのは、ポケットを付けているからだと思う」とあり、そういえば、最近こんな男たちって見なくなたなぁ…なんて思ったりもする。

 全編にわたり、丁寧な文章から著者のきちんとした性格が伝わってくるようだし、また、そんな中に終わりつつある昭和のあの時代をほっこり(用法違い)と感じる事ができる本。

 今では古本でしか手に入らないようだが、何もすることがない休日の午後など、のんびりとお茶しながら飲むのに、とても良い本だと思います。

OLYMPYS XZ-1


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