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中国化する日本/與那覇潤

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P8293596.JPG 一言で言うと「ひどい本」。

 タイトルから想像して「従来の日本中心史観を見直して中国から日本の歴史を…」みたいな内容を期待していたのですが、結果、終始「中国って実はエラい、でも日本人は昔からダメ」と言い続けているだけで、しかもその論調も一貫した底本、または批判姿勢に基づいているのならともかく、日本を馬鹿にするときは、資料の一部を曲解したり、ネットの文章を引用したり…。

 ま、ご本人は日本人ではあるみたいですが、中国に明治維新がなくて悔しいんだろうな…というコンプレックスしか感じませんでした。つか、半分読むのが限界だったよ。

 「明治維新ってなんで起きたの」と学生に聞けば、10人が10人「ペリーが来航して、開国するかしないかで混乱があって…」と答えますが、そんな程度の理由で維新が起きていいのでしょうか。ここでもまた、中国史を参照するのが有益です。お隣の国・清朝では同じころ、アヘン戦争・アロー戦争と欧米の侵略が相次ぎ、一時は首都北京まで制圧される(1860)という状況になるわけですが、だからといって王朝がつぶれましたか。20世紀初頭に辛亥革命が起きる(1911)まで、その後半世紀も清朝はもったじゃありませんか。
 それにもかかわらず日本だけが「たった四杯の上喜撰(蒸気船)」程度の小さな衝撃で「夜も眠れず」、あっさり(事実上の)王朝交代まで行ってしまった、その「安っぽさ」。

 全編というか、読んでみた半分程度まではずっとこんな調子。更に何故か文中でネット言論(2chのことです)を何度も馬鹿にしていながら、自らの主張もなんだか2chのまとめブログをつなぎ合わせたようなモノで、都合がいい所は「定説です」「当たり前です」を繰り返す、非常に価値の薄い文章。
 あ…あと著者は、史上初めて紙幣経済(信用経済)を築き上げた世界帝国、モンゴルも気に入らないようです。

 そういえば、反日的な2chまとめブログって目にしないような気がしますが、そういうのが好きな人にはお勧めかもしれません。

 あと、日本は駄目だという文章を読んで、自分が「知的」だと思いたい方にもお勧めです。実際本書は、書評で割と評判良いのですが、今更ながら、書評書く人ってインテリじゃなかったんだね。

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