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街に本屋さんが多すぎる!

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 今朝ニュースを見ていると、名古屋の児童書専門店メルヘンハウスが閉店するという話題をやっていました。なるほど…確かに少子化だもんな〜子供向けメディアは辛いよなぁ〜ポンキッキも終了するしなぁ〜なんて思って見ていると、ニュースの姿勢としては、児童書と言うより本屋さんの総数が減っているから、みたいな話題を取り上げていましたね。
 最後まで見なかったのでオチがどうなっていたのか分かりませんが、この児童書専門店閉店については、本屋さんの減少よりも昨今の少子化の影響なのではないかと思うのですが、どうなのでしょう。

 若い人が本を読まなくなった!

 という話は、なんだか自分が生まれた頃から聞いている気がしますが、ここ10年位の町の風景を見ていると、確かにみんな本を読まなくなったようです。昔は通勤中の電車に乗ると、週刊誌とか少年ジャンプとか片手に持ってる人沢山いましたからね。今だとそういう人はすっかり見なくなりましたので、なるほど…日本人は本を読まなくなったのかもしれません。

 といいつつ、もう少し考えてみると「読書ってなんだ?」みたいな気も実はします。
 海外だといわゆる書籍を売る本屋さんと、雑誌やコミック(海外のコミックはほぼ雑誌形式)を売るマガジンハウスが割と分離しています。私は不幸ながら海外には生涯一度しか出かけたことがないんですが、その時に町をふらついて入った本屋さんは売り物が全て本。当たり前ですけどね。そしてちゃんとしたお店の形をしています。で、いわゆる雑誌を売っているマガジンハウスは、日本で言うたばこ屋さんみたいに人通りが多い街角にちょこんとあったりします。実はたばこ屋さん利用したことがないのでよくわからないのですが、そんなノリだと思って頂ければ。あ、実は渡航経験が一度ってのも自分は不幸だと思っていません(笑)

 何が言いたいのかというと、最近の読書離れって数字が大きいのは雑誌やマンガ離れだったりして、実はほとんどの人はそういうちゃんとした本を元々読んでなかったのでは?って思うのです。もちろん、雑誌にだって立派に読書と言えるないようようなモノもありますし、書籍にしたって「これが読書?」みたいに感じるモノも結構あったりしますが、そこは大雑把に考えていたければと。

 ここからは完全に私の個人的な印象でしかないんですが、そもそも上記に書いたような偏見で考えると「読書」をしてる人って元からそんなにいたのかな?なんて思ったりします。自分が働く業界はどちらかというと本を読む人が平均より多い業界なのではないかと思うのですが、にしたって以前も書いたように「お勧めの本はなんですか?」なんて聞かれることもあったりと、決してみんなが読書まみれになっている訳ではありません。そう考えると個人的に「実は本屋さんの数ってまだ多すぎるのでは?」なんて思ったりするのですが、そういう話を数少ない読書好き…な人に話すと怪訝な顔をされることがほとんどです。

 統計を見ると、2017年の時点で日本全国には書店が12,526店あるそうですが、それを2016年の全国の自治体数で割ると、一自治体毎に平均7件強の本屋さんがあることになり、そう考えると本屋さんの数ってすごく多い気がしませんかね?もちろん本屋さんが日本全国平均して散らばっている訳ではありません。
 うちからそう遠くないつくばみらい市では市内に本屋さんがないなんて状況もあったりしますけど、現地を知っている人間からすると、ここはつくばエクスプレス開通前だと本屋さんどころかまともなショッピングセンターすらない地域だったので、そりゃそうかなと。

 今時は本を読んでいる人に比べて、音楽を聴いている人は圧倒的に多い訳ですよね。
 通勤中の電車内を見ていても、本を読んでいる人はすっかり消えましたけど、耳にイヤホンやヘッドホンをかけている人はかなりの数がいます。この全ての人が音楽を聴いているのかはわかりませんが、それを考えても、今では読書をしている人よりも、音楽を聴いている人の方が圧倒的に多いであろうことは想像がつきます。

 で、ここで全国のCDショップ数を調べてみると、本屋さんと違ってちゃんとした統計が見当たらないのですが、日本レコード商業組合に加盟しているCDショップの数は、2010年の時点で約700店だそうで、今だともう少し減っているんでしょうかね?これを先程と同じ2016年の自治体数で割ると、自治体毎に平均0.4店となり、これが多いかどうかは別にして、少なくとも読書と比較して街で音楽を聴いているだろうと思われる人の割合を考えてみると、本屋さんに比べてCDショップは圧倒的に数が少なかったりします。

 もっとも、ここにはCDレンタル店は含まれていませんので、それを加えればCDショップ数は全国であと2,000店くらいは増えるのかもしれません、でもそれを言ったら本にだって図書館ありますしね。図書館は全ての市町村にあるとは限りませんが、ほとんどの場所に存在するでしょう。しかも図書館は無料です。

 話は変わりますが、図書館を利用する度に「音楽と違って読書が趣味の人って行政からこんなに優遇されちゃっていいのかな?」なんて思ったりします。時には出版社や著者の方が気の毒に感じる事もありますが、こういうシステムなんだから、もちろん私もありがたく利用させてもらってます。この週末も敢えて品のない書き方させてもらうと、金額にして11,800円(税別)分の本を借りてきました。うち2冊はもう読んだので、明日にでも予約済みの別な本と貸し出し交換してきます。これ全部無料ですよ!すごくないですかね。実は街の本屋さんの閉店が加速してるのって、こういうやりすぎとも思える行政の図書館サービスにも一因がある気もしますが、このシステムは出版関係者から叩かれてるの見たことないです。一部のベストセラー本以外は公費での図書購入も出版社にとっては重要な売上だからなんでしょうけど。

 脱線しましたが、友達に出版社に勤めてる人とか、ライター業やってる人とか、漫画家さんとか、そういう人達がいますので、あまりこういう事を書くのもアレかもしれませんけど、やはり統計で見ると、まだ本屋さんって多すぎるんだろうなと思います。

 こういう事書くと「おまえは街の書店がなくなってもいいのか?」なんて怒る人もいるんでしょうけど、全然そんな事はないです。というか、昔は旅行先で本屋さんに寄るのが大好きでした。
 ただ、最近ではあまり積極的には寄りません。何故なら日本全国何処でも本屋さんに並ぶ本が同じになってきたから。もちろん、POSシステムを使って売れる本だけを並べるってのは、短期の視点のみで考えれば正しいんだろうなと思います。売れる本を置けば売上立ちますからね。

「本を売る」という仕事: 書店を歩く/長岡義幸

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