ホームオーディオ部屋>CDクリーナー3種

CDクリーナー3種

クリーナー3種

全てオーディオテクニカ

 

 皆さん!、愛聴盤CDのお手入れはどうなされていますか?。いつまでもクリアな音質を保つためには、日々のクリーニングは欠かせませんよね(どの程度効果があるかは未知数ですが)。という事で、今回は方式が異なる3種類のCDクリーナーを用意し、実際に使ってその効果を検証してみました。
 今回用意したクリーナーは、上の写真左から「AT6085(電動湿式クリーナー)」「AT6059(遠心分離式クリーナー)」「AT6060(超音波式クリーナー)」の3種類です。

 

電動湿式:AT6085

AT6085、外見

 まずは電動湿式の一番オーソドックスなクリーナー「AT6085」から。ある世代の人にとってはこの形、同社から発売されていた「サウンドバーガー」を思い出す人もいるのではないだろうか。その印象なのか、外見は何となく愛嬌のある形をしているような気がする。

 このクリーナーの使用方法は、まず本体を開いて中央、黄色く見えるスポンジ部分にクリーニング液を垂らす。そしてディスクをスピンドルにセット。本体を再び閉めてスイッチオン。
 ディスクと内部のスポンジがそれぞれモーターで回転する為、丁度ディスクの直径方向にスポンジが擦られる形になり、万が一動作中にキズが付いても、被害は最小限に留まるようになっている。

本体を開いたところ ディスクをセット

 使用後の結果だが、正直言ってイマイチなのではないかと思う。というのも、やはりスポンジで直接ディスク表面を擦る訳なので、どうしても余計な傷が付く心配は避けられないし、また傷は付かなくても、光にかざしてディスクを良く観察すると、クリーナー液の拭き残しが花のような形になって表面に残っているのが判る。

ディスクをセット 本クリーナーの問題点

 この「AT6085」、中古品でかなり汚れが目立つディスク、あるいは後述するクリーナーで落ちない頑固な汚れが付着したディスクのクリーニング以外では、逆にクリーナーの拭き残しや、スポンジの研磨跡(必ずあるはず)を残してしまう為、個人的には、ちょっと使用は控えた方がいいような気がする。
 また、本クリーナーの心臓部である円形のスポンジについても保管時の配慮が必要。構造的に、蓋を閉めたまま保管していても、スポンジは密閉されないので、そのまま部屋で保管しておいた場合、埃が付着してしまう。そしてその埃が付着したままのスポンジを使用すると、確実にディスクにダメージを与えてしまう。
 本クリーナーを所持している方は、使用後はスポンジを良く洗い、密閉した袋などに保管しておくことをお勧めします。

 一応テストということで、やや汚れたCDを本クリーナーを使ってクリーニングしてみたのだが、あまり効果を感じることは出来なかった。というか、逆に音質が僅かに劣化したような気すらした。
 おそらく、本当に汚れているディスクの場合でないと、音質向上の効果は感じられないのかもしれない。

 

遠心分離式:AT6059

AT6059、外見

 次は“遠心分離式”のCDクリーナー「AT6059」。本クリーナーの原理は単純で、付属するクリーナー液をディスクに直接散布し、そしてその液体と一緒にディスク表面の汚れを、ディスクを回転させる遠心力で吹き飛ばしてしまおう、というもの。
 この方法のクリーニングだと、ディスク表面には完全に非接触な訳だし、用意するクリーニング液も、別に専用のものではなくタダの水でも一向に構わないわけで、ディスクに対する安全性に関しては、一番のクリーニング方法かもしれない。
 逆に、指紋などの頑固な汚れに対しては、物理的に直接拭き取るわけではないので、期待する効果を得ることは難しい。

蓋を取り外し、ディスクをセット ゴムキャップをして、クリーニング液を散布する

 それでは使い方。まず本体上面の蓋を外し、中央のスピンドルにディスクをセット。そして付属のゴムキャップでディスクを固定し、その上からクリーニング液を散布する。ちなみに私はクリーニング液を使わずに、水道水で洗ったディスクをそのまま本機にセットしている。個人的には液体と一緒に埃を吹き飛ばすよりも、予め水道の流水で埃を洗い流したディスクの乾燥機、といった使い方の方が効果的な気もしている。
 そしてディスクをセット後、蓋をしてスイッチオン。すると、内蔵されてるモーターがディスクを高速回転させる。かなりの高速なので、必ず蓋をきっちり閉めることと、付属のゴムキャップで確実にディスクを固定することを忘れないでもらいたい。場合によっては怪我をする可能性もある。

蓋を取り外し、ディスクをセット ゴムキャップをして、クリーニング液を散布する

 スイッチを入れて約40秒すると、結構な音を立てて回転していたクリーナーが自動的に停止する。蓋を開けてみると、ディスク表面の水分は奇麗に無くなっている。これでクリーニングは終了だ。
 ちなみに本機には、頑固な汚れに対して使う刷毛状のクリーナーも付属している。ディスクに振れる部分の素材は、柔らかなゴムかウレタンみたいだ。使用方法は、クリーニング液を散布した直後に、直径方向に向かってディスクを拭いて汚れを落とし、そしてスイッチを入れるというもの。これで粗方の汚れは取れてしまうのだが、注意しないと、クリーニング終了後にディスク表面に拭いた跡が残ることもある。

 このクリーナーの利点は、基本的にディスクに対して非接触なので、買ったばかりの新品や、お気に入りのディスクに対しても遠慮無く使えるということだろう。頑固な汚れに対してはややパワー不足も否めないが、逆に乾燥した埃が表面に付着した場合などのケアに対しては、安全で効果的な方法だと思う。
 唯一気になる点といえば、ディスクを水浸しにするので、レーベル面の僅かな隙間から信号面に進入した水分が、アルミを錆びさせる可能性も否定できないということか?。しかし、この話はあくまでも卓上の理論であり、少なくとも私が使用している限りでは、これが原因で信号面が錆びたディスクは存在しない(というか、LDと違ってCDが錆びるという現象は、実際に目にしたことがない)ので、多分大丈夫なのではないだろうか?。

 この方式のクリーナー、汚れて埃だらけになったディスクに対しては、確かに効果を感じることが出来た。

 

超音波式:AT6060

AT6060、外見

 最後は“超音波式”「AT6060」。このクリーナーは、文字どおり超音波を発生させることによってディスク表面の汚れを剥離させるという方式。ある意味、表面には直接触れたくないディスクに対しては、理想的なクリーニング方式でもある。

まず専用クリーナーを入れ 水で薄める

 本機を使用するに当たっては、専用クリーニング液を作成する必要がある。まず、本機の蓋を開け、発振器である金属板の上に付属の洗剤を入れる。量は約10cc、キャップ3杯分だ。その後上から水を入れて洗剤を薄める、これは普通の水道水で構わないらしい。洗剤と水の量の比率は9:1、ちなみに一般の中性洗剤を代用すると、ディスクにダメージを与える可能性があるので注意。

ディスクを蓋に固定 スイッチオン

 蓋の部分にディスクを固定するクランパーが付いているので、その部分にディスクを固定し、そのまま本機の上に被せるような形で蓋をする。そしてスイッチオン。すると、メガネ屋店頭によくあるレンズクリーナーのような音を出しはじめ、それが約50秒間続く。マニュアルによると、発振される超音波の周波数は50kHz。出力に関しては記述無し。それと、部品の耐久性の問題なのか、本機における連続使用は10回までに制限されている。

解説図

 上の図はマニュアルからの引用。超音波を受け振動することによって物質は共振を起こし、そしてディスクから離れていく(物質が振動を受け共振する周波数は、基本的に全て異なっている為)という解説。
 ま、完全にこの理論通りだと、ディスクのポリカーネイトとレーベル面までが剥離してしまう事になるんだけどね。それに関しては、超音波の発振出力を、CDに最適化した出力に押さえているという事なのだろう。

ディスクを蓋に固定 スイッチオン

 50秒間のクリーニングが終了すると、本機は自動的に停止する。その後蓋を外してディスクを取り出す。この段階でディスクをみると、洗剤なのか水なのか、とにかく細かな泡がディスク表面に付着しているのが見える。超音波によるものだろうか?。
 そして、そのまま蓋にディスクを固定したまま流水で洗剤を洗い流す。この段階でディスク表面の泡は奇麗に流れ落ちる。
 その後ディスクに付いた水分を拭き取るわけだが、勘のいい人はココで「ディスクの乾燥に前記の『AT6059』が使えるんじゃないか?」と思っているはず。まさにその通りで、テクニカ側の資料でも「AT6059とAT6060は、セットで使うと効果的」みたいな記述があった。つまり、このクリーナー二台をコンビで使用すれば、非接触かつ非常に効果的なディスククリーニングシステムが完成すると言う訳だ。

 今回もクリーニング後、AT6059を使ってディスクを乾燥させる。そしてクリーニングしたディスクを観察してみると、ホントにビックリするくらい表面が奇麗になっていて驚いた。これはまさに新品の状態が蘇るといっても良いだろう。早速CDプレヤーに入れ再生してみると、確かにクリーニングの効果は歴然。俗に言う「音がクリアに・音像が広がり・緻密な表現・etc…」といった感じだろうか。新品のディスクに対しわざわざ使う必要は感じないが、埃まみれになったり、指紋が付着したディスクを蘇らせるには、本機は大変効果的な方式だと思う。

 ただ、問題点が全く無いかと言うと、そうでもなく、このディスクに超音波を当てる方式、某光学メーカーに務めている友人によると「ちょっと考えられない行為」だということだ。
 なんでも一般的に超音波をポリカーネイトに当てると、表面がミクロの単位でキズだらけになり、何度か繰り返すとディスクの強度が落ちてボロボロにくだけてしまう危険性がある。という話を伺った記憶がある。
 もし本機を使用されている方が居るとするならば、この危険性を頭の片隅に入れながら活用される事をお勧めします。

本機のCD以外の使用方法 スプーンの洗浄

 ちなみに本機はCDの洗浄以外の目的にも使用できる。右はマニュアルに書いてある使用方法。水と中性洗剤少々を入れたガラス製のコップに洗浄したいものを入れ、それを本機の発振機の上に置く。それから発振機の周りを水で浸し(ただの水でOK)スイッチを入れる。
 今回は、水垢が付着した古いスプーンで試してみたのだが、それなりの効果はあった。

 

 最後、まとめということで、これらクリーナーの入手方法に触れておきます。
 実はココまで書いておいてナンですが、本ページで紹介したクリーナーは、全て製造が中止されています。おそらく現在流通している商品は、デッドストックのみ。それでも参考程度に私が購入した金額を書いておきますと…
AT6085 定価: 2,500円/買値:1,980円
AT6059 定価: 4,500円/買値:3,980円
AT6060 定価:2,0000円/買値:5,980円
 となっています。もしお店で見つけた場合、相場の参考にしてみて下さい。
 また、「AT6059」と「AT6060」に関しては、現在同様の方式を採用した新製品が発売されていないことから、もし興味がある方は、早めに販売店に在庫を問い合わせて、商品を押さえておく必要があると思われます。

 CDが完全に普及した現在、逆に本ページで紹介したようなCD向けアクセサリは、数が少なくなってきました。この手のアクセサリ商品は、実際の効果に関して疑問を感じるモノも多かったのですが、それでも色々と効果を想像しながら店頭でこれらのアクセサリを眺めるというのは、マニアにとって結構楽しい一時でしたよね。
 これらの商品、オーディオ趣味が廃れた現在では、もうあまり需要は無いのかもしれません。少し寂しい気もしますね。

 

MY MUSIC LIFE へ

 

まっかちん.web トップへ