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New Beetle Cafeで見る自動車のブランド

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080422-02.jpg 丸ビルでやってた。花でデコレーションしたニュービートルが展示してあったけど、正直旧型と何が変わったのかわからん。もっとも、このクルマのスタイルが旧型と変わってしまったら、まったくもって意味がないともいえるのだが。

 このニュービートル、中身はゴルフでガワを変えただけ…なので、基本的にはゴルフと同じような走りだと思う。というか、新しいゴルフを運転した事がないので、思うとしかいえないのだが。

 ニュービートルにニューミニ、そしてニューチンクシェントなどなど…。こういったクルマを見ると「所詮デザイン代が上乗せされただけのぼったくり」だとかなんだとか悪口を言うクルマヲタクは結構多い。ある意味その考え方は正しいし、また正しいが故に今の世の中では古くさいだけの意味がない意見ともいえる。
 昔私の友人で「クルマなんて所詮カッコですから」と言っていた人がいるが、近頃の自動車業界はまさしくそのような様相になってきた。そして、これが自動車技術が発展してきた証拠なんだなと思う。つまり自動車というのは、機能や性能を語るような発展途上の機械ではなく、機能や性能は誰も気にする必要がないくらいの完成度になり、となると残るはスタイルで決めてしまっても全く問題がない…つまり白物家電化してきたとも言えるかもしれない。いや…白物家電だとちょっと夢がないので、アパレル化してきたと言い換えた方がいいかな。

 実際、世界中の自動車メーカーは、もちろん品質向上に努めているのは確かだが、近頃はブランド構築とデザイン(というかスタイル)に力を入れるようになってきた。そういった傾向がより強いのが、やはり自動車業界最先端を突っ走るドイツ車で、アウディを筆頭として、BMWやベンツなど、従来の自動車作りとは違うアプローチで魅力的な商品をどんどん展開してきている。こういった面で、日本メーカーは相変わらず後進的。スタイルよりも送り出す商品に徹底的な品質管理を施して、圧倒的な高品質というデザインでブランドイメージを構築しつつあるトヨタ以外の日本メーカーは、正直どのような思想でクルマを作り続けているのか思い浮かべにくくなっている。
 トヨタが世界で絶好調なのは、そのような「高品質」という個性でブランド構築を上手い具合に成功させたからであり、他の日本車メーカーは、そのトヨタが作り出した「日本車は高品質」だという幻想に上手い具合に乗っかっているだけのように見える。このままの状態では、おそらく数年後に、2番手以降の国内メーカーで、大混乱と大規模な業界再編が起きるだろうと私は思う。

 今日このニュービートルカフェを見て、このようなコンセプトで希求する事が可能なブランドイメージを持つ日本車は存在するのかな?なんてふと思ったりした。ざっと思い浮かぶクルマといえば、マツダのロードスターは…今ではちょっと古いな。皮肉な事に、こういったアプローチ以外でブランドイメージの構築に成功しつつあるトヨタ車、その中のレクサスなら、このようなコンセプトのセールスプロモートもありかな…なんて思ったりもした。
 他の日本車だと、どんな車種を持ってきても、週末のジャスコなどで見られる、スーパの出張契約会みたいなノリになってしまいそうだ。

 この手の話になると何度でもこのブログでは繰り返すが、日本のオーディオメーカーは、何故あれだけ高品質なモデルを作っていたのに滅びたのか。そして何故あれだけ高品質な商品を作る技術があったのに、あんなに音の悪い商品しか作り出せなくなったのか。
 かつての工業製品は「高品質」というだけで明確なアドバンテージがあった。このままでは、この先「高品質」以外のコンセプトを持たない、日本の色々な分野の商品が、かつての日本のオーディオメーカーと同じロジックで没落していくように私には思える。

RICOH GR Digital

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