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おしまいのデート/瀬尾まいこ

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2011052701.jpg 「よく食べる男は3割増しなのよ」というセリフはどの作品だったかな?とにかく、この“瀬尾まいこ”氏の小説の登場人物は、なにやらいつも食べている。そして、それが時には変な食べ物だったりすることも多いのだけど、それでもみんなおいしそうだ。

 かくいう自分は、食べ物の好き嫌いが多い上に、そもそも人前で食事をすることに慣れていないせいか、人と食事をするときはどうも小食になることが多い。そのせいか、会社の女の子で何を食べても「うまい」といいながら食べる人がいて、そういう姿を見るとなんだかうらやましくてつい「いいな〜」と言ってしまったことがある。

 そういう、自分の目の前でおいしそうに物を食べている人を見ると、よくわからないけど何となく嬉しくなる。私が瀬尾まいこの小説を読んでいるときって、そんな心境に近いのではないかな。

 本のタイトルこそ“デート”という言葉が付いているが、甘酸っぱい恋愛小説だと思って読むと期待外れだろう。そもそも本書に恋愛話は(ほぼ)ないし、大体表紙のイラストはドドンと天丼が大きく描かれているだけだ。でも、他の作品同様、登場人物はみんな食べ物をおいしく食べながら、それでいてちょっとキュンとする体験をして、いかにも瀬尾まいこらしい短編集だなと思った。

 買い物に出かけた帰り道、本屋さんに寄って、そのまま近所のカフェで読んでしまうのにピッタリの分量。その日の夕ご飯は、普段より少しおいしくいただけるかもしれません。

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