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最強国の条件/エイミー・チェア

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20110531_02.jpg 人類の歴史には、度々周辺の諸国、世界の国々を圧倒する最強国「ハイパーパワー」が存在してきた。それら諸国についての歴史とその時代背景を俯瞰している本。

 内容も平易な文章で読みやすく、歴史に興味を持つ人にとってはとても面白くエキサイティングな文章だと思う。
 古代ペルシャからローマ、モンゴルからオランダ、イギリス、アメリカと、取り上げられた「ハイパーパワー」は多種多様。光栄なことに我が日本国も「非寛容の失敗例」として短いながらも取り上げられている。

 これら最強国のキーワードとして、著者のエイミーは「寛容政策こそが国家の繁栄をもたらす」と指摘し、その文脈に沿ってこれらハイパーパワーについての興亡を考察しいている。
 実はこの「寛容」という言葉の意味を、そのまま翻訳語として捉えてしまうことはやや危険かなと、前のエントリーである「寛容の帝国」を読むと、そんな事を感じた。本書で語られる超大国はどれも「寛容」さに溢れたユートピアかと思ってしまうが、おそらく原文で語られる寛容=トレランスには、更に違った意味を内包したキーワードなのであろう。もっとも、本書の翻訳者は、その寛容さをもう少しユートピア的に考えてしまっている印象もあるが…。

 また、日本について語られている章をみると、本書で語られている他の「超大国」達の歴史の信憑性にもやや疑問を感じてしまう感もあるが、それでも、こういった趣旨で歴史をまとめてある本は珍しいし、面白いと思う。

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