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猫座の女の生活と意見/浅生ハルミン

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20111011_01.jpg 初めて読む作家です。渋谷マークシティ地下の本屋さんでなんかのフェアやっていて、その中に並んでいた一冊。何となく立ち読んでみたら面白そうだったのですがその時は買わず、一週間位してから「やっぱり、買お」と思って買いに行ったのでした。

 ハルミン氏の本業は、今をときめくイラストレーターだそうで、その方が書いているエッセイなので、さぞやオサレで小粋な文章が…と思っている方もいるかもしれませんが、そんな事は全然なくて、基本くだらねー事しか書いてありません。
 うんこの話が出来る大人の男はカッコイイとか、古本屋で「猫かじり跡あり」という本があったら絶対買うとか、そんな感じ。今風にいえば“ゆるい”と言われるのかもしれませんが、私的にはくだらねーという印象の方が強いです。いい意味です。

 そんな中でもさすがプロのエッセイスト、ハッとする言葉というのは何カ所かちりばめられていて、特にドキドキした文章が、

「こんなシャクリかたをすればキリコの流れはいいけど刃先がもろい。こうすれば逆に刃先は丈夫だが、キリコがあぐらをかくから、切れ味が悪い。わかったか」わかりません。わからないからかっこいいというもんです。

 という下り。いや…ここだけ取り出してもホントに訳わからないと思いますが、これは「春は鉄までが匂った」という本に登場する渡り旋盤職人、平松さんの話…だそうです。
 「わかりません。わからないからかっこいいというもんです。」なんて開き直った文章、なかなか書けそうで書けるもんじゃないすよね。ここの下りは読んでいて興奮しました。ドキドキと。

 思うに、私が女性エッセイストの本を比較的好んでいるのは、こういう無秩序な中にあるキラリと光る言葉を見つけるのが大好きだからなんだろうなーと思います。
 男性が書いて出版するエッセイというのは、一件くだらなく見えても、実は生き方に1本の芯が通っている系とか、無秩序に見えるエピソードだけど、通して読むとひとつの目標に向かっている様に見えるとか、そういうくだらなさを装った隠れお役立ち商品的なモノが多い気がするのに対し、女性が思い切って書くくだらねー系エッセイというのは、本当に無秩序で、自分の後の人生において特に知らなくてもいい知識がくだらない感じでちりばめられているような気がして…って、超ステレオタイプに書いてますね。ごめんなさい。つまりそういう感じです。とにかく私がエッセイというジャンルに求めるモノは、そういう文章なのです。

 何を言ってるかわからなくなってきましたが、つまりそういう本が好きな人にはお勧めです。

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