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お勧めの本はなんですか?

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 会社の人と話していたとき、ふとこんな事を聞かれた。
 どうやら最近本を読んでいないので、また読みたいとのことらしい。「えっ?お勧めの本と言われても…」と、自分は困ってしまったのだが、落ち着いて考えると、この種の質問は、むしろ普段本をよく読む人ほど返答に困るとう面白い事例なのかも…と思った。

 同様の質問は、例えば音楽や映画、クルマや自転車でもいいし、ヲタっぽくお勧めのアニメは?なんて聞かれたときも同じかもしれない。これらのように絶対解がない分野での質問は、むしろその分野のエキスパートよりも、あまりそれらに接していない人に質問した方が、すぐに答えが返ってくるし、案外正しい事も多いのではないかと思う。

 例えば「お勧めの本」と聞かれて、普段から沢山本を読んでいる人は何を勧めればいいのか困ってしまう。それは自分の中で処理しなければならない情報が多すぎるからだ。
 「じゃ、最近読んだ本でいいから」と言われても、このブログでネタにした一番最近の本は「エア・パワーの時代」である。とてもじゃないが、最近読書をしてないので本を読み始めたい…って人に勧められる本ではない。「じゃ買った本は?」と聞かれると、このエントリを書いている時点でもっとも最近買った本は、大阪の古本屋さんに注文した「日置川町史・中世編」である。まともに答えても会話がそこで終わってしまう(笑)

 逆に自分があまり本を読まずに、年に数冊程度読むくらいだったらどうだろう。基本的に本を読まずに、年に数冊本屋で本を買う程度なら、きっと誰でも知っているベストセラ小説やビジネス書しか読んでいないだろうし、それなら無理なくお勧めできるかもしれない。それは今流行のピゲティの経済書かもしれない、あるいは村上春樹とかかも。なんせ年に数冊しか本を読んでいないのだから、選択肢が少ないのですぐ選べる。というか一年以内に読んだ本全てをお勧めしたって問題ないだろう。これならおそらく会話のキャッチボールが成立しそうだし、多分お勧めされた方も満足して読んでくれそうだ。

 そういえば、自転車なんかも同じかもしれない。仲間内でのSNSで、新しく「自転車買いたい」と言う人が出たりすると、やれロードレーサーにしろとか、小径車がいいよ、とか安いクロスバイクを買ってパーツを高級品に変更しろなどと無茶言う人が出たりする。おそらくこの手の質問の趣旨は、「ママチャリでもいいけどもう少し長い距離を走りたい」である事が多く、それに対する最適な解答は「5万円前後のクロスバイク」だったりするんだろうが、マニアに尋ねるとそこに落ち着くまでの課程がエラく遠回りになったりする(笑)

 ということで、何か新しいモノを買いたい、何か新しいことをしてみたい…と思ったら、話が長くなるので、質問の対象にハマっている人には聞いちゃいけないよ…という結論なのか?

 ちなみにその時の私は、インターネットで新聞社が出している書評ページを開いて「この杉山正明氏のモンゴルの本はお勧め、それとMac使っているなら、こっちのジョナサン・アイブの本も面白いと思うよ」と、半分他のメディアに頼った、極めて無難な返答で済ませておきました。

 「本のお勧めとか漠然過ぎて答えられるわけない!」とか、この手の質問でちょっとイラッとする読書家の方もいるとは思いますが、このようなザックリとした質問にも適切な解答をすぐに出せると、ちょっとカッコいいかもしれないなぁ…。

 あ、このエントリで登場した以下の本は本当にオススメしますので、最近あまり本を読んでいない人も是非どうぞ。

クビライの挑戦 モンゴルによる世界史の大転回(講談社学術文庫)/杉山正明
ジョナサン・アイブ 偉大な製品を生み出すアップルの天才デザイナー/リーアンダー・ケイニ―

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