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▼2006年05月08日

戦艦大和と大艦巨砲主義

 一度は行っておきたかったんだけど、尾道にあった映画「男達の大和」で使用されたロケセットの一般公開が終了した。何でも最終的には観客総数100万人を超えたということらしく、今回だけじゃなくてその他諸々でもたらした大和の経済効果を考えると、当時大蔵省を騙してまで集めた(どうやったらそんなこと出来るんだ?)莫大な建造費も充分に元が取れたのではないかと考えてしまう。

 後生の談話では、大艦巨砲主義時代の遺物だとか、空母時代には役に立たない代物だとか、色々言われている“大和級”だが、当然の事ながらハードウェアは超優秀。電装品などは米国の戦艦に劣るが、船としての基本設計やパッケージングは明らかに大和級の方が優れていた。特に鐘楼(ちなみに一般的に言われる“艦橋”は、正確には“前鐘楼”の事である)回りのパッケージングは写真を見ても明らかに大和級の方が近代的で優れているように見える。もっとも実際はダメージコントロールからの観点もあるので、ダラダラと上部構造物が分散している設計の方が戦闘には適しているのかもしれない。
 
 この大和級、問題はこの超弩級戦艦を変に出し惜しみして、まともに使おうとしなかった軍部にある。例えば主砲の46cm砲は、艦砲射撃として地上戦部隊への砲弾支援に使えば、非常に強力な支援火力になったはずだし、もちろん水上艦船への砲射撃では圧倒的破壊力を見せつけただろう。また、航空攻撃に弱いとはいっても、最後の沖縄特攻時には、のべ300機以上の攻撃機による猛攻に耐えたあげくにようやく沈没した訳で、逆に言えばここまで一方的な攻撃を受けなければ大和級戦艦は沈まないのだ。
 私は沖縄特攻のミッションを挙げて「戦艦は航空機に無力」と結論づけてしまうのはおかしな話だと思う。あの当時のアメリカ軍は、それだけの攻撃機を自由自在に戦域へ投入できる状態にあった訳で、そんな状況下ならどんな船だって絶対に沈むだろう。仮にそれが宇宙戦艦ヤマトだったとしてもね(笑)

 意外なことに最近の軍艦は、ダメージコントロールを考慮して大型化する傾向が強い。実際、現在就役している“こんごう級”イージス艦は、もはや旧日本海軍の重巡洋艦並の排水量になっている。このまま行けば、ひょっとすると空母以外で現代の“戦艦”というべきサイズの水上艦船が出現するかもしれない。高度なステルス性を持てば「大型艦船はレーダーで探知されやすい」というデメリットも減るしね。ちなみに“こんごう級”のステルス性は、あの大きな巨体が、レーダーでは漁に使う小舟程度の大きさにしか反応しないらしくて、浦賀水道を通り抜ける際、東京湾海上交通センターから何度も位置と大きさの確認を求められるそうです。

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