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▼2014年02月28日

音楽って全然死んでないよね、むしろ黄金期じゃないの?

R0320629.JPG 一攫千金を夢みる歌手志望の人や、単一種類の円盤を100万枚プレスしていればお金になっていた音楽業界人達の気持ちはわかりませんけど、今、巷の音楽って凄く面白くなっていると思うんですよね。

 都内のタワーレコードや、インターネット通販、あるいはインターネット系の音楽紹介サイトなど読んでいると、もう欲しい音源で溢れていて、多分今の私は若い頃よりも色々な音楽買っているのではないかと。

 ジャンルとしても、一般歌謡曲やロック、POPS、アニソン、クラシック、ジャズなどに収まらない、従来の流通ではあまり積極的に販売されてなかった種類の音楽が、インターネットなどでどんどん紹介されるようになって、一部のCDショップでは積極的に販売されるようになってきました。

 ということで、写真はここ2〜3ヶ月で買った、従来のジャンルだと区分けしにくいと思われるCDをあつめたもの。1枚アニソンっぽいジャケットのCDありますけど、アニメとは関係ないです(笑)。まだまだ沢山ありますけど、寝る前にハタと思い出してかき集めただけなのでこんなもんで。

 個別では紹介しませんが、例えば写真右上にあるシンプルな男性のイラストが描かれている2枚。こちらは岩村竜太氏が1週間に1曲、半音ずつ音階を上げていって作曲したという曲。Sunday ImpressionとMonday Impressionというアルバム2枚でひとつのピアノ組曲が完成するというCDです。シンプルで静かに抑揚の効いたピアノ演奏に痺れました。

 こういう不思議な音楽って、従来の流通ではなかなか売りにくかった。
 何故なら売る側の棚の何処に配置すればいいかハッキリしていなかったからです。また、CD制作と宣伝にコストがかかった以前では、ある程度の販売数が見込めないと、そもそも売り出されることすらありませんでした。
 例えばこのCD、昔からのCD屋さんで売るとしたら何処の棚に入れるでしょう。クラシックではない?それともイージーリスニング?あるいは教則CDなんかの棚に入ってたりして…。

 このような私が好きなインスト曲、あるいは単一のジャンルに属していないクロスオーバーな音楽でも、今では気軽に少量プレスCDが制作できるようになったおかげで、作曲者が直接インターネット上で販売したり、あるいはプレスしなくても直接ダウンロード販売を行ったり出来るようになりました。
 また、その音楽を伝える手段についても、従来のようにお金のかかる宣伝をせずとも、インターネット上で積極的に自分のサンプル曲を公開出来るようになり、昔みたいにCD…いや、作った音楽を沢山の人に聴いてもらうためのコストが劇的に下がっているのです。

 それに割を食っているのは、ヒット曲を作り出して同じ商品を何十万枚、何百万枚とプレスすればちゃりんちゃりんとお金が入ってきたシステムに慣れてきた従来の音楽業界人、アーティストじゃないのかなと。そして、そういう人達が率先して「音楽は死んだ」「音楽業界は不況だ」と、まるで自分のお財布の中身しか心配しないかのように、業界を嘆いています。

 でもね、もちろん音楽を作っている側の人達にとっては大変な時代だとは理解しますけど、自分としては、今の音楽シーンは様々な種類の音楽で溢れている黄金期なのではないかなと思いますよ。
 
 私は、こういう音楽を聴きながら、ボカロとか歌ってみたとかチェックしつつ、アニソンチェックして従来のクラやJAZZ等も追っかけてるんです。とてもお金と時間が足りませんよー。

 なので私はここで宣言しますよ。音楽は全然死んでません、むしろ今黄金期です。そしてこの先、どんどん様々なジャンルの曲に気軽に触れられる素晴らしい時代が続くはずです。なのでこれからは「音楽は死んだ」とか、不用意に使うのはやめようね!

RICOH GR


Sunday Impression/岩村竜太
Monday Impression/岩村竜太
Tia Carat

▼2014年02月25日

自動車の横に注目してみよう

 ちょっとカーデザインのお話。

 街中には様々なデザインの自動車が走っていますが、自動車というのは大衆化が進み大量生産されるようになってから、様々な視覚のトリックが施されています。

 例えば、自動車の顔と呼ばれるフロントグリルですが、60〜70年代の自動車ではそれなりにフロントで存在感を示していましたが、80年代になると、フロントグリルレスともいうべき、薄くスタイリッシュなフロントグリルが主流になりましたよね。
 ただ、フロントグリルとはボンネット中のエンジンを冷やすための穴ですから、無くするわけにはいきません。そこであの時代の自動車は、フロントバンパーの位置を上に上げて、その上に薄く横長のグリルを装着し、バンパー下の目立たない部分で大きな開口部を付けるという視覚のトリックを使っていました。
 当然ながら、決してフロントグリルが無くなったわけではありません。

 ちなみにそのグリルですが、更に一回りしてAUDIがトレンドを作った「シングルフレーム」というスタイルで、再びフロントグリルの存在感が求められるようになったのが面白いトコロ。デザインは繰り返すんですね。

 ということでここでは、最近私の周りでちょっと話題になった自動車のサイドビュー、中でもパネルラインがもたらす視覚トリックについて語ってみたいと思います。こちらも単純ながら視覚を惑わすには効果的で面白いですよ。

 そもそも、自動車のサイドに入っているパネルライン。かつての手作りに近い自動車の時代ではほとんど存在しませんでした。
 昔の自動車は、エンジン・タイヤ・ブレーキ・操舵機器や各種補機類などがシャーシの状態で組み立てられて一旦納品され、それを覆うボディは、専門の板金職人達がオーナーの注文に従いボディを作り、架装するスタイルでした。今で言う「カロッツェリア」ですね。カーナビではありませんよ。
 その職人達の誇りは、堅いはずの鉄板をよりなめらかに有機的なラインでまとめ上げることでした。今見ても、クラシックカーのフェンダーなどは、プレスでは作れない程複雑でなめらかな曲線ですよね。そんな時代ですから、ボディにラインなどを入れるのは野暮とされていました。

 それが、戦後の自動車大量生産時代になり、自動車のボディは手作りではなく、工場で鉄板をプレス加工して大量生産するようになります。また、ボディのモノコック化も進み、ボディ外装はそれなりに応力を受け止めなければならなくなりました。
 その課程で、薄い鉄板の強度を上げるために、パネルに折り目を付ける「パネルライン」が採用されるようになります。しかし、このパネルラインは、後にボディの強度を上げる為だけではなく、様々なデザイン、視覚のトリックなどに使われるように進化します。

 まずは下の図をどうぞ。クリックしても拡大はしませんが、別ウインドウで開きますので、文章の横に置いた状態で以下の解説を読んでみて下さい。

panelline

 :架空の自動車のサイドビューです。架空と言いつつAUDIっぽいのはご容赦。自動車の横顔は、光やパネルのラインがないと、割とのっぺり、ずんぐりとしています。

 :そこで、ボディにラインを入れてみます。この腰高で地面に対して水平なラインは、80〜90年代のドイツ車が多用していたスタイルで、端正な印象があります。当時のドイツ車は直進安定性の鬼でしたので、何処までも真っ直ぐ高速で走るドイツ車のイメージにピッタリです。
 また、水平方向に視覚が遮られるため、ボディをより低く薄く見せる効果もあります。

 :おそらく90年代後半のBMW辺りから始まったと思いますが、単なる速さではなく、良好な運動性、加速性を表現するために、パネルライン前部を少し下げて、地面を切り裂くようなイメージを表現しています。こちらのラインは、後にメルセデスベンツも採用し、従来の端正なスタイルとは違い、より躍動感溢れる新生メルセデスベンツのイメージになりました。

 :2000年代に入り、自動車のスタイルにも「ネオ・クラシック」的な流れが起き始めます。ボディーのホイールアーチは、90年代中盤まで、自動車のスタイルからむしろ隠す方向が主流でしたが、AUDIのコンセプトカー、アヴス・クワトロや、後の市販車TT、並びにフォード・フォーカスなどが、逆にホイールアーチを強調するスタイルを取り入れ始めます。
 当初は4輪駆動の高性能ぶりを強調する為のパネルラインでしたが、このラインは4駆以外でも流行します。タイヤの存在を視覚的に見せつけるため、アグレッシブな印象になるのと共に、ラインの位置を工夫することにより、ボディーを低く見せる効果もあるのです。今でも大・中型のミニバンなどで多用されています。

 :こちらは日本人のカーマニアにはお馴染みの「サーフィンライン」です。C10型スカイラインのトレードマークでもあり、以降数世代にわたりスカイラインのシンボルとなったパネルラインでした。
 後輪付近が強調されるデザインですが、当時の自動車は殆どが後輪駆動車であり、その付近に躍動感があるラインが入ることで、見る人に高性能を予感させます。
 このサーフィンラインですが、上記のような基本的スタイルは最近見かけなくなりましたが、複数のより有機的なラインを組み合わせ、自動車のキャラクターイメージを印象づける為に、今でも多用されています。

 :記憶違いかもしれませんが、日本のマツダが採用し始めた、前輪付近からの力を感じさせるパネルラインです。最近の自動車はFF、前輪駆動車が殆どになりましたので、その前輪のパワーを表現したデザインと言えるかもしれません。上記③のパネルラインよりも、よりフロントの駆動輪に視線が集中する効果をもたらします。

 といった感じで、全く同じ外見ながら、パネルライン1本(あるいは2本)で、各車随分とイメージが変わることがおわかり頂けると思います。
 実際は、上記のパターンに含めて、フロントバンパーやサイドスカートなどを用いてより複雑なラインを演出しているクルマも沢山ありますが、基本パターンは上記5パターンに分類できるのではないかと。

 また、このラインを分析すると、その自動車がメーカーにとってどんなキャラクターとして見られたいか、どんな人達に買ってもらいたいかが見えてきて、なかなか面白いモノです。

▼2014年02月24日

カフェレーサー…的な

R0320624.JPG 前回の車検を通すまでは、私のMGFも数ヶ月に1度位しか走らせてなかったので、バッテリが上がりっぱなしでした。
 これではイカンということで、最近では、毎週一度はちゃんとエンジンを回すようにしています。

 ただ、毎週のようにフリーで行き先を決めて出かけるのも面倒なので、近頃は土曜日か日曜日の朝どちらか、Fで高速道路に入り、おおよそ30分程度爆走(笑)した先にある、とある地方都市にあるスタバで朝を過ごすことにしています。そこで、ドヤリングして本を読んで…とまぁそんな感じ。

 朝のぼんやりした頭も、屋根をオープンにして高速道路の追い越し車線を走っていると、途端にシャキーン!となるので、本を読んだりするのが捗るのです。そのせいか、普段のスタバではソファ席に陣取る私ですが、このお店では大テーブルの堅い椅子に座ってひたすら本を読みます。

 何度か通っていると、休日の朝からカフェにやってくる人というのは、それなりに目的があってくる人が多いみたいですね。例えば、ノートパソコンで一生懸命Excelで資料をまとめている人とか、紙のノートとiPadを使って何かの試験勉強している風な人、また、大きな紙をテーブルに広げて、企画書(?)のアイディアスケッチしている人などなど…何度か見知った顔の人も何人かいます。

 折角の休日の朝、確かにゴロゴロとしながら午前中を過ごすのもいいのですが、土日共ゴロゴロしてしまうと、なんだかもったいないしね。

 表題にある「カフェレーサー」とは、元々イギリスから始まったバイクのスタイル。
 若い人達が、深夜営業しているカフェまでバイクで飛ばしていく為に、様々なチューンナップを施したことから始まります。そちらのコンセプトがクルマにも降りてきて、郊外のカフェやレストランを目指して自分の車をチューンナップするといったコンセプトです。

 私はバイクの方は良く知りませんけど、クルマでいうカフェレーサーとは、大体が小型車をベースにして、外見のモディファイは控えめに、足回りを強化したり、ハイグリップタイヤに履き替えたり、コーナーを曲がりやすくするためステアリングを変更したり、チューンナップのステージとしては、ライトからミドルまでの範囲になります。
 街中を飛ばすというコンセプトなので、爆音マフラーに替えたり、市街地だとガチンガチンに音を出すような強化デフ装着したり、路肩の段差を引っかけてしまうような車高調整チューン等とは違います。あと、カフェに集うような若者は基本的にお金ないので、高価なパーツを投入しまくるといった感じでもなさそう。

 で、自分のFを見てみると…別に何もチューンナップしてないんですよね。オリジナルより大分低い車高は、足にロアリングナックルを入れているわけではなく、単なるハイドラ抜けだし(笑)、オリジナルと違うのは、タイヤとシフトノブくらいかな。
 それでも、週末のどちらか1日は、気分は遅れてきたカフェレーサーということで、朝の高速道路を飛ばすのが、近頃の習慣になっています。

RICOH GR


▼2014年02月23日

聡明な女は料理がうまい/桐島洋子

P2239034.JPG なにやら挑発的なこのタイトルですが、年末に出たブルータスの本特集2014で紹介されていた本。

 オビには「70年代のベストセラー、待望の復刊」とあります。初版(というか新装版)の第一刷が2012年9月。今回買った本は第二刷で2014年2月なので、あの特集に合わせての増刷かな?反響が多かったのでしょうか。

 読み始めると、1970年代的文章というか、ある種時代がかった雰囲気にのまれそうになりますが、ちょっと変なのはその気取った表現だけで、文意についてはとても普遍的で今の私達にも通じる事が書いてあります。つか、すごいよね…この人って。

 ウーマンリブ的な部分に幾つも触れてはいますが、これもまた時代なんですかね。因みにこの著者は世間で言われている所の「リブ」的人生論には全く興味がないようで…って当たり前ですよね、この人の生き様を見れば、男女の違いとかそんなの超越してる、とてもエネルギッシュでスタイリッシュな生き方をしてます。

 で、表題にもある「聡明な女は料理が…」ってのは、わかる気がするんですよね。私は別に女じゃないですが、料理というのは綿密な計画性と大胆な実行力…が求められる行為だよなぁと思います。
 確かにこれって、いわゆる世間で言われるステレオタイプとしての「女性的」な行いではないと思うんですよね。なので、女性に限らず男性でも、料理がうまい人が「聡明」ってのは、私も多いに賛成です。

 女性の家事が大変なのは、実はそれぞれの作業そのものではなく、毎日決められた資源(冷蔵庫の食材・資金)などを頭に置きながら、料理、洗濯、掃除、買い物、そして時には育児といった多くのことを毎日自力で計画を立て、実行しなければならないことだとの意見もあります。
 つまり、料理に限らず家事全般をちゃちゃっと片付けられる人は、自己計画能力と判断力に長けているわけで、そりゃ頭ちゃんと使う人じゃないと出来ないよね…と納得。

 前半がエッセイ、後半は短い時間の中でちゃちゃっと作る事が出来る料理の実践レシピが載っていますので、ある意味おトクな本かもしれません。

 あと「ツノっぽい」という表現は、なかなかイイな思いました。そそ、食欲だけでなく性欲も旺盛な人は魅力的だよね。

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京急杉田・手打ちそば福寿

R0320561.JPG 一部で「不倫の香り」がする街との噂がある神奈川県の杉田。
 不倫する相手も甲斐性もない私ですが、JRの新杉田ではなく、京急新杉田駅すぐ近くにある手打ちそば「福寿」というお店にやってきました。

 見た目は街にある普通の蕎麦屋みたいな佇まいですが、お店の中もそんな感じ。ただ、休日の割に隻は全て満員で、私もかろうじて1席確保できたタイミングでした。また、注文町の最中にも数組お客さんが入ってきて、空き席がない事を知ると残念そうに引き上げていました。

 まだ雪の残る寒い日の午後、私が注文したのは「かけそば」です。注文を待つこと5分位?温かいお蕎麦がやってきましたよ。
 透明感のある汁の中に、ちょっとくたっとした感じのお蕎麦。そして上には薬味の葉物野菜が少々と、柚が入っています。ま、柚子は出汁なのでそのまま放置で、まずは野菜をサクッと食べてから、そばをササッと。うまい!

 そばの後の汁も、サッパリと飲みやすく、とても美味しかったです。街の中にこういう気取らない感じの美味しいお蕎麦屋さんがあるっていいなと思いながら、お店を後にしました。

RICOH GR

宮本常一公演選集3:都市文化と農村文化

R0320625.JPG 農文教から出版されている、我らがみやもっちゃんの公演選集も、3巻まで発刊されました。

 しかし、相変わらずこの人の話は、本当に全てアタマに入れたいというか、素晴らしい見識ばかりです。また、知識の量が異常です。
 この本は、原稿用紙をまとめて出版しているのではなく、宮本常一がその口で語ったことを文章にしているわけですから、恐ろしいものです。
 そして、ひとつの事例に対しての枝葉末節まで知り尽くした上での公演は、生で聞ければさぞ面白かったに違いありません。

 本書の初版発行日は、奥付によると、2014年1月28日になっていますが、だとすると次の4巻は3月末ですかね。今から楽しみです。

RICOH GR


▼2014年02月14日

引くより押すべし

 通勤途中でよく「日野・コンテッサ・1300クーペ」を見かけます。中の運転手は作業着っぽい服装していますので、通勤中なのでしょう。こうやって日常で旧車と暮らしている姿は、実にいいなぁ…と思います。

 このコンテッサですが、エンジンが後ろにあるR/R(リアエンジン・リアドライブ)方式です。今では信じられませんけど、昔はR/R方式の自動車の方が、効率的だと言われていた時代がありました。

 自動車が単に直線(とまではいかなくても鉄道並みに緩やかなカーブなど)状のルートを加減速するだけでしたら、R/R方式は確かに有利です。何故なら、走行中重心が見かけ上後に移動しますので、後の駆動輪に荷重がかかり、良好なトラクション(対地摩擦)を得ることが出来るからです。
 現在主流になっているF/F(前輪駆動)方式は、その構造上加速時に満足なトラクション(対接地摩擦)を得ることが出来ません。何故なら、F/F方式は加速すると重心が駆動輪よりも後に移動してしまい、肝心の駆動輪にかかるトラクションが不足するからです。
 逆となる減速時についても、R/R方式は車体重心が自動車の中心方向へと移動して減速効率が上がるのと違い、F/Fは車種にもよりますが、重心が車体より前に移動してしまうことがあるため、ブレーキ抵抗が前輪に集中してしまい、あまり良好ではありません。

 その代わり、自動車におけるF/F方式は、安定した直進安定性、操舵性をもたらします。これは重心と駆動部分が前にあり、その他の部分を引っ張るからです。単に物体を動かすだけなら、後から押す方が理にかなっていますが、物体を任意の方向に誘導しながら移動させる場合は、むしろ引っ張った方がコントロールしやすくなります。
 今使われている多くの自動車は、直進的に移動するだけの乗り物ではないので、これは理にかなっているのかもしれません。

 自動車と違い、水の上を走る船の駆動方式は逆に、駆動力が後へと移動していますね。
 初期の手こぎ船はともかくとして、風の力を必要としない蒸気船は、初期のタイプでは船体左右中央横に、水車のような大きな輪がついていた外輪船が主流でした。
 しかし、その外輪はすぐに船体後ろへと移り、やがて水中に完全に没するスクリュー式となります。船の場合、エンジンは船体中央底付近に設置されることが多いので、R/Rとまではいかないかもしれませんが、駆動力は後へと移動してゆきます。

 そういえば、空を飛ぶ乗り物でもF/F・R/Rの違いがあります。
 かつてのレシプロエンジンを搭載していた戦闘機達は、ボディ前面にエンジンがあり、大雑把ではありますが、飛行機の翼が自動車でいうタイヤと考えれば、F/F方式と言えます。それに比べて、第二次大戦以降のジェット戦闘機は、概ねエンジンとその噴射口が機体後端にありますので、R/Rと言えるかもしれません。

 飛行機…特に戦闘機というと、ひらりひらりと空を旋回して自由に舞う…といった姿を想像しがちですが、実のトコロそういった空戦は、第一次世界大戦から第二次世界大戦初期で終了します。それ以降の空戦は、もちろん例外はありますが、基本は「Hit and Run(一撃離脱)」と呼ばれる戦いが主流です。ここで求められる機体特性は、旋回性能よりも、素早い加速・上昇性能だったりします。
 絶対的な旋回性能なら、自動車同様、頭にエンジンを積んだレシプロ方式の方が物理法則的に優れています。これは上記で書いた自動車と一緒ですね。しかし、それよりも、効率的により速く飛ぶことを求めて、エンジンはジェット化して機体後端に配置されるようになったのでしょう。
 そういえば、日本陸軍が大戦末期に試作した「震電」は、旋回性能を犠牲にしても、とにかく素早く襲来するB-29に立ち向かうという迎撃戦闘を想定した設計なので、より速く飛ぶためにエンジンとプロペラが後ろに配置されたR/R方式になっています。

 空を飛ぶといえば、ロケットも初期はF/F方式です。
 ロケットの父と呼ばれるゴダードのロケットも、初期のタイプは噴射口が本体上にあるという、今でいうとちょっと想像しがたい形状をしていました。これは何故かというと、ゴダードも本当はボディの後端に噴射口を設けたかったのですが、それだとロケットが直進してくれない…つまり曲がりすぎてしまうという事から、このように無茶な構造を取らざるを得なかったのです。自動車や飛行機では問題ない良好な旋回性能が、逆に徒になった例かもしれません。
 もちろん、こんな形のロケットは効率が悪すぎるため、すぐに噴出口のコントロールを工夫して、後端噴射式になります。自動車でいうR/R方式になるわけですね。

 とまぁ、色々書き連ねましたけど、世の中の乗り物は自動車以外全て、進歩の過程で、力を前から引っ張るのではなく、後から押す方式に変わってきました。
 なので、ひょっとしたら、自動車の世界も近い将来、またRR方式が主流になるのかもしれない…なんて、古きコンテッサを見て妄想したのでした。R/R方式…なんだか夢がありますね…と思うのは、自分がクルマ好きだからなのでしょうか。

 そうそう、鉄道には触れていませんでしたが、例えば今の日本で、機関車が客車を引っ張る方式の、動力集中式の列車がほぼ消えた代わりに、列車編成内の台車が駆動力を分担するという、動力分散式…要は普通に走っている電車や新幹線方式ですね…が主流になりました。
 これもF/FからR/R…とは言えないまでも、駆動力は微妙に後へ移動していますので、船・飛行機やロケットなどの乗り物と同様、R/R方式への流れと同じと言えなくもない?

▼2014年02月10日

那由他、再訪問

R0320508.JPG まだ雪が残るつくば市内。お昼は折角なので、ちょっと郊外にある「那由他」まで足を伸ばします。

 今回そちらで頂いたのは「あられそば」というメニュー。蕎麦の実を油で揚げたものが暖かいお蕎麦にかかっています。本当にお茶漬けのあられみたいですね。あられの下には大きく香ばしい海苔が敷いてあり、お蕎麦はその下です。

 薬味として、七味唐辛子と、一味唐辛子、そして黒唐辛子の三種類が一緒に出てきます。折角なので黒唐辛子をかけて頂きました。

 上に載った蕎麦あられは、油の感じがあまりせず、サッパリとして本当にお茶漬けのあられのよう。それでいて噛むととても香ばしい感じ。
 下の海苔も、軽く火であぶっているんですかね。すぐ口にしたせいか、パリッとした歯触りがします。

 肝心のお蕎麦ですが、少しくたっとしたゆで加減。以前食べたときはこういう感じでもなかったので、メニューによって茹で具合を変えているのかな?とにかく、このくたっとした感じがまたとても美味しかったです。

 最後、お蕎麦を全て食べ尽くした後、汁の中にあられが結構残っていて、ちょっとあられの量おおすぎかな?という気もしましたけど、最後の最後まで汁も単調にならず飲み干せたので、いい感じの塩梅なのかもしれません。

 何年ぶりかの那由他訪問。昔と変わらず美味しさで、とても満足しました。

RICOH GR

RDG・レッドデータガール/荻原規子

P2109024.JPG 怒濤のカドカワ電子書籍70%オフ期間を利用して購入(セール期間はもう終わっています)
 このお話、以前アニメにもなっていましたよね。確か1話を見た記憶がありますが、アニメの方の泉水子は、原作で描写されているところの、ちんちくりんな少女ではなく、今風なアニメ的美少女にアレンジされていますので、正直アレな気がします。自らの容姿にコンプレックスをもっていてこその泉水子だと思うのです…こちら、旧版の表紙、酒井駒子氏に描かれた泉水子の方がそれっぽくていいです。

 それはそうと、原作は面白い。こういうジャンル、なんていうんでしょうね。ジュブナイル小説とも言えない気がするし、もちろんラノベではない(現在ラノベ風表紙で再販されてますけど)、高学年向け児童文学なんですかね。
 丁度仕事でクソ忙しい毎日だったのですが、割と止まらず、結構短期間で全6巻制覇したという感じ。

 この小説読みながらずっと思っていたのですが、泉水子って、いつも一生懸命自分の事とか他人のこととか考えてるんですよね。みんな自分の事とか他人のこととか、いつもこんな真剣に考えているのかなぁ…と。申し訳ないですけど、私の場合、1人でいるときに他人のこととか全くといって良い程考えてないです(笑)。この辺がリア充と非リア充の差なのではないかと、読みながら思ったりも。

 その他、式神とか山伏とか、世界設定が厨二設定全開だったりするんですけど、主人公を始め周りのキャラ達が、分相応に幼い思考の持ち主なので、あまり違和感はありません。全6巻の間、中だるみもなく、常にハラハラどきどきしながら読み続けられました。

 最終巻、読み終えてしまうのが少しもったいないな…と思った小説は、久しぶりかもしれません。

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