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▼2007年02月06日

逝きし世の面影/渡辺京二

 まだ文庫になっていない頃、4,500円という決して安くない値段で本書を買いました。その後、版元が本書を絶版にしてしまい、長い間手に入りづらく、古書市場でもプレミア価格で取引されていたようです。

 その大切な本、私は少しづつ読んで、その度に衝撃を受けていたのですが、いかんせん大きくて重いので、通勤途中など持ち出して読むわけにはいきません。私の場合、自宅ではあまり長時間読書はしない上、読み終えていない本も沢山あるので、それらに埋もれてしまい、なかなかまとめて一気に読む機会がないまま、数年間が過ぎました。
 と思っていたら、知らぬ間に「平凡社ライブラリー」というシリーズで、本書が文庫化されていたではありませんか。これなら本書も通勤途中でも読むことができます。早速買って読みました。

 この本で紹介されているかつての日本は、徳川時代と共に滅び去った、今とは違った文明である日本を紹介しています。圧倒的な資料を元に構成された本書は、最近流行の単なる江戸賛美の本とは違い、強い説得力を持っています。本書あとがきに記された「江戸時代に生まれて長唄の師匠の二階に転がりこんだり、あるいは村里の寺子屋の先生をしたりして一生を過ごした方が、自分は人間として今よりまともであれただろうと心底信じている。」という言葉は、まさに私の読後感と同じです。
 陳腐な戯れ言にも聞こえますが、この言葉がどれだけ心に刺さるかは、本書を実際読んでみてほしいとしか言いようがありません。
 また、本書解説文の最後にある「かすかに囁き続けるものがあるからこそ、逝きし日の面影は懐かしいのである。」という言葉も心に残ります。

 このエントリーを読んで興味を持った方は、本書と共に、今まで語られてきたフィクションの江戸時代とは違う、もう一つの視点で描かれた江戸社会へタイムトリップしてみては如何でしょうか?

逝きし世の面影/渡辺京二

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コメント

面白そうですね。
見つけたら買ってみよう。

関係ないんですが葦書房いろいろあったようで、そっちにちょっとはまってしまいました(笑)。

確かに葦書房、面白いですね。
「文化ファシズム」読んでみたい気がします。

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