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▼2007年04月02日

わたしはレンタルお姉さん/川上佳美

 一応働いてはいますが、こころはいつだって“ニート”の私から言わせてもらうと、本人や家族など、当事者達にとってはあまり実のある話じゃないけど、ニートになりたくないと思っている正常な人にとってはためになる本じゃないかと、そんな感想です。

 電車を乗る方向を間違えただけで、ものすごく落ち込んでしまうという精神状態は、私もよく判ります。私なんて、家を出る時に財布を忘れた事に玄関で気がつき、もうそれだけで何もかもイヤになってしまい、そのまま会社を休んでしまう…という事もあります。

 人にとっては、どうでもいいような些細な事が、訳も判らず許せなくてパニック状態になってしまう…。この症状は、いわゆる「ニート」とかいう問題ではなく、なんらかの「パニック障害」を引き起こしている可能性があります。早めに精神科の医師に相談した方がいいのではないでしょうか?

 ちなみに私も、程度はわかりませんがパニック障害の症状があります。もうどうでもいい事でものすごく落ち込む事もありますし、重要な失敗で何も気にしないという事もあります。
 自分で言うのもなんですが、これは精神的強さとか、責任感とか、そういった理由が全くない上、きっかけと症状の関連性を客観視しても、何ら関連性が見いだせない(些細な事とか重要な事という意味づけと、パニック症状の大小がまるで一致しない)ので、他人には酷く気持ちが悪い状態に見えると思います。

 やや否定的に書きますが、こういうニート達を励ますとか、きっかけを作るとか、そういったプロセスは、他人による脅しや恫喝と根本的な手段としては変わらないのではないかと感じました。結局は「勝者側」の理論で物事を考えているように見えます。
 もっとも、多くの場合はそれでうまくいってしまうのも事実なので、こういった手段を全て否定はしたりはしませんが、少なくとも本書を読む限りでは、手に負えない症状は専門医師への治療を勧めるとか、他の専門機関と連携を取るとか、そのようなエピソードがまるでなく、全て自分たちの会社で解決、そして失敗は失敗と、プロセスが著者の所属している会社内で完結してるように見えるのが気になりました。実際は違うんだとは思いますが。

 でも、ニートが過ごしやすい空間を少しずつ破壊していくというのは、対象となるニートが比較的健全な精神状態を保っている事を前提にすれば、結構いい方法だと思います。

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