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▼2008年02月03日

越境と抵抗/小川徹太郎

080203-01.jpg 新しくなった霞ヶ関ビル下の「書原」で見つけて、とても面白そうだと思ったのだが、打ち合わせに行く途中なので諦め、後日アマゾンで注文した本。やはり書原は私にとって欠かせない本屋さんだと改めて思う。

 という事で本書。越境と抵抗というタイトルだが、これは「小川徹太郎」という学者におけるキーワードみたいなものらしい。この本の著者は小川徹太郎となっているが、既に亡くなられており、編集は別な人達で進められたもの。サブタイトルに「海のフィールドワーク再考」とあるが、どちらかというと著者の原稿を寄せ集めて作った本のようで、正直まとまりに欠ける内容だと思う。

 ただ、それぞれの原稿についてはとても興味深いものがあり、特に冒頭「シオ」についての考察などは、わくわくしながら読み進められた。確かに日常では見落としてしまいそうな、この方言(というか仲間言葉)みたいな部分を丁寧に考察していく姿勢は、単独では小論として終わってしまいそうでも、ある程度の研究成果をアーカイブできれば、海に生きる人達の貴重な研究になると思う。
 また第二部である「方法の問題」については、現在のフィールドにおける情報採集の方法と、また変わりゆくフィールドに対しての論考など、色々と考えさせられる事も多いのではないだろうか。特に「民俗学」という言葉が持つ、どこか懐古的で時に牧歌的イメージを想起させる部分について、採集者の側からすると、最近ではむしろ弊害となっているような事についても記されている。もっとも、これらの点について「情報提供者」と「採集者」という役割について、いろいろな意味で見直されるべきではないかと、そのような点についても触れられていて、なかなか興味深い。

 全体としては、面白い部分と、正直どうでもいいような部分の山谷が激しく、この著者自身に直接興味を持っている人、もしくは本書の一部分だけでも読めればいいという人以外には、あまりお勧めできないような気がするが、そんな否定的な事を書きつつも、私としては珍しく一気に読み終えてしまった位なので、実は結構面白かったのかもしれない。
 ただ、読後の感想については、なんというか全体像をまとめて書きにくい本でもある。

CONTAX SL300R T*


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コメント

トラックバックいただきました。
新しい書原にも何回かいっているのですが
以前と違った縦長のレイアウトには
いまのところまだなれておりません。
ちょっと整頓された感じですかね。
もちろん量と質は近隣随一ですが。

こんにちは、コメントありがとうございます。

私の場合、かつて書原は「虎ノ門店」を常宿としており、霞ヶ関店はできた頃に数回行っただけでした。それが、リニューアルされていてちょっと綺麗になっていましたが、それでも「書原」らしさは色々と感じさせられて面白かったです。

阿佐ヶ谷の本店もちょっと前に行ってきて、思わず書原のために阿佐ヶ谷に住んでもいいな…なんて思ってしまいました(笑)。

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