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▼2008年08月14日

飛行機のプロペラ

ヲタ

 飛行機のプロペラは、回転する羽が空気を一定方向に押し出すことにより推力を得る。一般論としてはこの理解で充分なのだが、現実にはプロペラで発生させた空気は一定方向に押し出されるというよりも、プロペラから渦を巻きながら一定方向に吐き出されるといった表現の方が正しい。このように、プロペラで発生した推力は、ジェットエンジンのように一直線の推力ではなく、比較的複雑な空気の流れを伴いながら推力を発生させている。
 
 また、プロペラの先端と中央では吐き出される空気の量も違う。プロペラの中央は原理的に全く推力を発生しない(実際には周りの空気に引き寄せられて移動するので推力ゼロではない)。中央以外でも、プロペラが空気を押し出す量は、ペラの移動速度の二乗に比例するので、やはりペラの中央付近と端では大分推力に差が出てしまう。
 
 そう考えると、一般的なプロペラ機の「プロペラが前にある構造」は、プロペラの推力のみを考えれば比較的合理的な設計。ペラ中央付近後ろのあまり風を発生させない部分にボディを置くことにより、逆に中央付近の空気の流れが遮断され、ペラ先端の推力効率が良くなる…のだが、そんなにうまくはいかないのが実践であり、実際は前方からプロペラ中央付近に流れてきた空気がプロペラ後ろのボディに当たると、それはそのまま空気抵抗になってしまったりする。そのためプロペラの前中央にはカウルというキャップみたいなパーツをつけて、空気の流れを遮断し、抵抗を低減させたりと、色々工夫がされている。

 他にも問題はある。たとえば飛行機であることそのものを考えると、前方にプロペラがある機体は、絶えず渦の中を突き進んでいるようなモノで、空力的にはあまりよろしい状態ではない。空気力学と流体力学は結構違うのだが、たとえていうのなら、水の中のスクリュー直後を進んでいるようなモノ。進むことは進むが、渦の中なので方向舵や昇降舵などが理想通りの働きをしない。
 これは前にプロペラがある全ての機体に共通する制限事項であり、世の中のレシプロ戦闘機などは、こういった条件下で最高の性能を発揮するよう作られている。

 ちなみに、下のエントリーで触れているプッシャ式の機体については、このような問題から部分的に解放される。そのため、設計値通りの運動性を実現しやすい…と、卓上の理論ではそうなるのだが、実際にはどうなるか、実例が少なすぎるため何ともいえない。ただ、今でもプロペラを使った飛行機の主流は、機体前方のプロペラが空気を後ろに押し出す方式である。

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