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▼2012年05月04日

戦略論大系・孫子/杉之尾宜生・戦略研究学会

P5042779.JPG 底本は「宋本十一家注・孫子」だそうである。現存する孫子は底本により章などが異なっているらしいのだが、概ねこの版が原型に近いとされているようだ。

 孫子の本は数多く出版されているが、多くは意訳・妙訳が多く、実際の孫子を学べる本は、岩波文庫など、割と堅めの書籍でないと、何が書いてあるのかわからなくなってくる。中には「孫子は平和主義者で反軍国主義者」みたいな怪しげなものや、経営を学ぶにはまずは孫子から!などと、それはそれで価値があるのかもしれないが、少なくとも孫子を知るにはあまりどうでもいいような本が多い気がする。そもそも、日本人のオッサンは孫子大好きだしね。

 また、孫子とよく比較される書物として、クラウゼヴィッツの「戦争論」があるが、お互い有名な本である割には、きちんとした内容を把握している人が少ないのではないかと思う。

 ということで、実は昔も岩波文庫版の「孫子」は読んだ記憶があるのだが、内容も既に覚えていないし、最近はこの「戦略論大系」という書物を少しずつ読んでいるので、その一環として購入してみた。なぜなら、孫子の訳文の他、後半の解説文にも価値があるのではないかと思ったからだ。単に訳文だけを読みたい人は、岩波文庫版を買った方が安上がりだし。

 孫子という書物がすごいなー、と思うのは、これが単なる戦争の為の書物に留まらず、国家運営の基幹にも言及していること。つまり、クラウゼヴィッツの「戦争論」が作戦級であるとするなら、「孫子の兵法」は戦略級であると言える。
 目の前に与えられた「戦争」という現実に対処するのが戦争論であるなら、孫子の兵法は「闘わずして勝つ」という有名なあの言葉にあるとおり、もう少し戦争という事象に対して俯瞰して眺めているようでもある。

 最近やったゲームのせいで、うかうかすると孫子が強制脳内変換されてしまい(笑)こちらのビジュアルが頭にちらついて、ちょっと萌心を感じながらも楽しく読むことができたのだが、それぞれ語っている言葉は極めて簡素であり、普遍的価値観に基づく非常に洗練された文章だなと感じた。
 それゆえに、現代ではおっさん達格好の餌食になって「孫子と言えば脂ぎった経営哲学」みたいなイメージが付いちゃってる気もするが、これもまた、日本人である私達が、広く孫ちゃん先生を愛しているゆえんなのですよ〜。

 この「戦略論大系」版は、それぞれの言葉に、原文と読み下し文、そして和訳が付いていますので、真面目に学習したい人は、研究素材としても便利かもしれない。また、後半の解説文もなかなか読ませる物があり、私としては価値はあったと思う。

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孫子(戦略論大系)/杉之尾宜生・戦略研究学会
新訂・孫子(岩波文庫)/金谷 治

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