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▼2012年12月08日

ブラック企業/今野晴貴

PC080033.JPG その名も「ブラック企業」です。何たるストレートな書名(笑)。しかし、読んでみて色々と考えさせられる本でした。

 本書の第1章では、ブラック企業との関わりを、主に個人の視点から眺めてゆきます。人が、如何にブラック企業において破壊されていくか…そんな話。ま、この辺は皆さん、ネットや何やらでそれなりに情報は得ているでしょうし、噂も聞いているでしょう。全くえげつない話です。

 問題は第2章の方かなぁ…、ブラック企業が日本を滅ぼすという視点。確かにその通り。本当につくづくそう思いました。
 因みに、本書で実名が出ている企業は「ウェザーニューズ」「ローソン系列のSHOP 99」「ワタミグループ」です。その他、著者が一番書きたかったであろう企業が、近年の流行で世界的なアパレルブランドへと躍進したX社。もうおわかりでしょう。ちなみに本書の事例に近い例が、こういった検索を行うと沢山出てきますが、偶然でしょうか。

 これら「ブラックとされる企業」が、本来企業側の責任で負担しなければならない、治療費や生活保障費をただ乗り、つまり「フリーライド」しているという視点は、成る程なと思わされます。
 そして最近のメディアにある「若者は昔に比べすぐに仕事を辞める」や「すぐに生活保護をもらおうとする」という論調が、少なからず上記を含めたブラック企業達が暗躍する要因になっているとも書かれています。つか、そんなブラック企業の総帥が東京都の首長になろうとしてたんですね。おそろしい…。そして、それらブラック企業は、日本の若者を焼畑的に消費し尽くした後、

 ブラック企業はこれらのコストを日本社会へ押し付けることで急成長し、グローバル企業へと羽ばたいてゆく。第1章でみたX社はその好例である。X社が業界で世界的な企業になる過程では、彼等に「選別」され、「使い捨て」にされた若者たちが鬱病に苦しみ、その治療の負担は日本市民の税金・社会保険料で賄われる。

 と書かれています。そうです、ブラック企業で心を破壊された人達をケアする為のコスト負担は、その要因をつくったブラック企業ではなく、私達日本国民が負担させられているのです。何が社内英語化でしょうか。笑っちゃいますね。

 残念ながら、日本のメディアは総じてブラック企業達の見方です。テレビでは度々「若者達が折角入社してもすぐに辞めてしまう」「今の就職難は企業をえり好みしているから」や「生活保護受給者を減らすために現物支給を」などといったリポートが繰り返されます。
 そのため、私達は無意識での思考として「なんだかんだで若者は会社をすぐに辞めるよね」「辛い環境でこそ頑張れて1人前」「生活保護受給条件をもっと厳しくしろ!」と考えてしまいがちです(ちなみにナマポ問題について私は「例の吉本芸人」の行為は絶対に許せないと思いますが、安易な基準やシステムの変更には反対です。問題は既存のシステムを恣意的に利用する受給者と、逆に公正な運用を妨げる役人が多い事が問題なのです。現行法の適正な運用を行えない限り、いくらルールを変えても無駄です。)
 例えば数年前に「ブラック会社に勤めているんだが、俺はもう限界かもしれない」という映画がありましたが、こちらはまごう事なきブラック企業を賛美した映画です。私は公開当時からTwitterとかで「ばかじゃね?」とか言っていましたが、つまり、こんな社会的犯罪行為をお涙頂戴映画に仕立てちゃうんですから…って矛盾すら考えない程、みんな普段から、ブラック企業側の視点に立って考えてしまっているという事でしょう。これは、日本国民みんなが反省しなければなりません(ついでにこの映画を作った監督を始め脚本家達は自らがやった仕事の意味を猛省してほしいものです)

 これから就職しようとする人だけではなく、今働いている人全ての人が、こういった本を読んで、労使との健全な関係について考え直さない限り、日本の社会に未来は無いでしょう。そして口を開けば「グローバル化」と言っている経営者達が、何故日本を脱出したがっているのかのカラクリについても、その意味を考えなければなりません。

 あと、これが一番大事だと思いますが「ブラック企業の味方をする、もしくは製品・サービスを買う」事を、みんなでキッチリと止める事ですかね。本書を読んで、つくづく思わされました。

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