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▼2012年11月18日

ロジスティックス入門《第2版》/中田信哉

EB180516.JPG 「ロジスティックを後方と訳すのは間違いだ」と言っていたのは、軍事評論家の江畑謙介ですが、この本でも同じような疑問から始まり、ロジスティックという本来の意味と、日本語としての伝わったときの解釈を整理することから書き始められています。つまり「ロジスティック=物流」というのは間違いなんだなと。

 元々「ロジスティック」という概念が、軍事行動を指していたことには変わりありません。それは、軍隊という集団が非常時を前提とした組織であり、一般社会から完全に独立した社会を形成できることと、その際に必要な物資やマネージメントを自ら管理する必要性があったからです。

 個人的には、ロジスティックの達人といって思い出すのが、古くは「項羽と劉邦」で、劉邦を支え続けていた蕭何でしょうか。彼を単なる「補給担当」として考えてしまうと、その功績を誤解してしまうかも。

 とはいっても、私を初めとする一般の人にとって、ロジスティックを実践する機会はほぼありませんし、わかりにくい概念であることには変わりありません。強いて言えば「物流」が、モノの輸送についての概念だとすると、ロジスティックはモノを動かす為のマネジメントとも言えるのかも知れません。それは、単なる流通の効率化に留まらず、時には企業ブランディングまでに関わることがある、アクティブな活動とも言えるようです。

 ま、そのロジスティックについては本書を読んでもらえればいいとして、今回この第2版で追加された最終章「リスク管理とロジスティック」という部分はとても興味深かったです。

 以前、阪神淡路大震災が起きたときに、災害時の食料や必需品の運搬について、ロジスティックス的議論が高まったことがありましたが、神戸を中心とした東西の物流断絶という戦略的視点はともかくとして、被災地が比較的狭い範囲だったこともあり、マネジメントの必要性がそれ程大きくなく(もちろん無いわけではない)、ある意味力業での物資補給と運搬ができましたが、先の東日本大震災では、被災地域が日本の陸上面積1/4にも達する広範囲であり、当然、それらの地域に対する物資運搬には、戦術から戦略までの広範囲なマネジメントが必要とされました。
 例えば、被災へ向かう高速道路の復旧もそうですが、被災地へ向かったトラックの帰りの燃料を確保するための補給廠を設置する必要に迫られたりと、単にモノを運ぶ以上の総合的マネジメントが必要になりました(ちなみに平時からこれらの能力にもっとも長けているのが軍隊です)

 本書では復旧に当たって三つのステップがあるとかかれており、

 1:3日以内
 2:1週間以内
 3:1ヶ月以内

 の優先順位をつけ、復旧活動に当たるのが大切と説かれています。この概念はわかりやすいです。

 なんせ、被害を受けた地域というのは、情報も寸断されていて大局が見えていませんからね。私もあの日は「TXなんで復旧しないんだしね!」とかTwitterで書いていましたが、後からその被害を知ったら「あ…ごめんなさい、もうしません」となったし(笑)。復旧にあたる人にとっても、復旧を受ける側にとっても、このようにわかりやすい作業プロセスを明示化していると混乱が少ないでしょう。
 あとまぁ、民主党政権はバカだのクソだの言ってましたけど、復旧に当たった役人達はいい仕事しましたよね、改めて思い出すと。特に被災した高速道路は、一部を除き、翌日から1週間程度で殆ど通行可能になりました。これは確かに驚異的復興スピードであり、きちんとした戦略眼をもった活動でありました。

 話がずれてきましたが、この最終章だけでも読む価値があるなぁ…と思いました。新書だしサクッと読めるので、物流に興味がある人は、立ち読みでもいいから目を通すべきかなと思いますよ。

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