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▼2013年10月26日

「城取り」の軍事学/西股総生

R0312235.JPG 前のエントリで書いた、初Kindle購入本。早速読んでみました。

 私は普段から「お城」について、特別な興味を持っていた訳ではないのですが、やはり、日本史、合戦史、ならびに交通史への興味から、お城についてもそれなりに気にはしていたというレベルです。
 しかし…日本の城研究がこっちの方向に行ってしまっていたんだなぁ…というのは、この著者の主張と同様、嘆かわしいと思いました。

 「城」とは何か?と問われれば,もちろん「戦う」為の施設であります。江戸城や名古屋城、大阪城など、領土本拠地としての天守をもった城ならともかく、多くの城は戦うためだけに作られている訳で、全ての城に城主などいる訳がありません。また、大規模な城ならともかく、山城程度が全て領主勅命により建設される訳もなく、現場の司令官が現地制圧のため、あるいは敵を迎え撃つために急造したモノも多いはずです。近代戦における塹壕陣地とかトーチカみたいなノリで。
 そう考えると、確かに日本の城跡のほとんどに、城主や誰によって作られたかの詳細なデータが有る訳も無く、確かに著者の言うとおり「城跡の説明板は読むな!」という主張も、極論とは言え、確かにそうかなぁと思ったりします。

 また、日本の城研究の多くが、戦闘的視点に欠けていたというのも別な意味で衝撃を受けました。だって…私は山城の跡とか見たら思わず「この城は今私がいるこの道を監視するために作ったんだな」とか「このルートを攻略するにはあの城が邪魔だなぁ」とか、普通に考えていたからです。

 もっとも、この影響はやはり学生時代にシミュレーションゲームにハマっていた影響なのかな…と思ったりもします。緩やかな丘陵地や川沿いの地形を見る度に、ごく自然に「ここに軍団を展開するにはこの位置から見下ろす位置に陣をはって…」みたいな事を、いつも考えたり。そういえば京都に行ったときもそんな事考えたりしてたし…(笑)、これもまた極端かもしれませんけどね。

 そんな私にとって、本書の城と地形に対する考え方は、ホントにすんなりと頭に入ってきて、とてもエキサイティングでした。また、にゃんぱす紀行で寄った青山城についても詳しく解説してたのはよかったです。最近に現地を見たばかりの城なので、とても理解が深まりました。

 例えば、本書に掲載されていた長野盆地の山城群ですが、多くの人は「なんでこんな山の中にいちいちお城築くんだろう…」と思ったりすると思うのですが、現代の地形と戦国時代の地形とは意味が違います。例えば、長野平野の都市部にあたる大部分は、開拓が始まるまでは葦に埋もれた湿地帯であり、現代のように固い大地ではありませんでした。

 これは関東平野にも言えることで、関東の古道である「鎌倉街道」が、どうして山地の方を通っているのかというと、私達が今想像する「関東平野」は、これもまた葦で覆われ、雨の度に地形が変わり、馬車などはもちろん、馬の移動にすら苦労を強いられる湿地帯なので道にならなかったからです。今の関東平野の大部分は、江戸時代…もしくは明治時代以降、河川の整備によって固い大地に生まれ変わったものです(余談ですが稲作ですら日本で始まったのは丘陵地からでした)
 そのため、昔の道は案外山の中を通っていたりすることが多いのです。

 そんな予備知識を持って、本書を読んだり、城跡を訪問したりすると、その意味がとてもよくわかると思うのです。現代の私達が「何好き好んであんな山の中に…」と思う場所も、実は昔の道を見下ろせる場所だったり、あるいは山間の峠を容易に封鎖出来る場所に立っていたりします。

 昔の地形や風景を想像しながら、本書を片手にGoogleマップで位置を確認するとか、歴史好きの方なら結構楽しいのではないかと。というか、私は楽しかったです。

 この西股総生という方は、もう一冊「戦国の軍隊」という本を書いていらっしゃるようですが、こっちも読みたいのですが、まだKindle化してないんだよね〜。なのでしばらく後回しかな。

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