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▼2018年05月24日

基礎から始める大砲のおはなし

P5241233 考えてみれば「大砲」をきちんと紹介した本ってもの凄く少ないのです。海外ではよくわかりませんけど、そもそも「砲兵」の役割をきちんと紹介している本は日本語だと少ないのでは?

 どうしても日本のグノタさんは、兵器のスペックを丸暗記したり「レオパルト210式どっちが強い?」みたいな部分ばかりに関心が強すぎるようですので、それらを支えるシステムや、大砲・砲兵部隊・工兵に関する資料はあまり目にすることができません。

 戦場における大砲の役割は?というと、もちろん時代によってもある程度変化しますが、最大の役割は敵の中に突破口を作ることにあります。
 第二次世界大戦時には、ドイツ軍の電撃戦が持てはやされたせいか、大砲を運用する砲兵の役割はイマイチ地味な印象になりましたが、逆にドイツ軍がソビエト軍を潰せなかった理由のひとつが、ドイツ軍における砲兵戦力の不足です。ソビエト軍は伝統的に砲兵戦力を重視していて、大量の大砲で敵陣を広く制圧した後に大軍で突撃するというのを、陸上戦闘の基本ドクトリンとしていました。
 結果…かどうかはともかくとして、ドイツ軍はソビエト軍が放つ雨あられのような砲撃に進軍を阻まれ、だんだん身動きが取れなくなってゆきます。

 近代戦ではそういった陸上戦力に対する支援任務を、大砲から航空戦力へとシフトさせていったのですが、現代戦ならともかくとして、第二次世界大戦時の航空機では、天候が悪化すると出撃できませんし、また陸上兵力の進軍に合わせて前線で飛行場などを整備する必要があったり、当時のドイツ軍だとバルバロッサ作戦初期のまだ準備がしっかりしていた状況ならいざ知らず、ソビエトの広い国土では、冬の天候悪化や春の泥濘地、伸びきった補給線などの悪条件が重なり、ドイツ軍の航空機は当初計画されていた通りの航空支援任務を果たせなかったようですね。

 それはさておき、この本は「砲兵」というより、まさに「大砲」を趣味とする人達向けに書かれている薄くない同人誌で、底本はソビエトの砲兵向け教本みたいですが、大砲が何故飛ぶか?から始まり、大砲の歴史や仕組み、そして実際どのように打って当てるのかまで、実に詳しく解説してあります。
 一般ウケはしなさそうですが、こういうのこそ、まさしく「同人誌」って感じですばらしい。考えてみれば大砲を主役にした本って日本ではあまり存在しなかったのでは?

 大砲の本といえば、かつては村田蔵六が最新の砲術書に萌えていたり、高野長英が三兵答古知幾を訳して捕まったりしたシーンが、みなもと太郎の風雲児たちで後半のクライマックスとして描かれていますが、これらの本は日本の近代化のために多いに役立ったジャンルの筈なのです。ただ、現代の華やかな兵器達に比べると、趣味のジャンルとしても確かに地味な印象ですね。

 本書は一般書籍ではなく同人誌なのでアマゾンなどの一般書店では買えません。こちらのサイトから買えます

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↑趣味としての大砲w、内容は文字びっしり系です。

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