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▼2009年08月23日

戦争と一般の仕事は一緒

 今日寄った本屋さんで「零戦に搭載する2,000馬力級のエンジンが完成していたら日本は負けなかった」なんて書いてある本があったなぁ…。まぁ、日本では戦争学なんて学問もないし、何処の大学でも真面目に戦史や戦争に関する研究を行っていないので仕方ないか。

 たとえ話をすると、カンガルーの西濃が使っている宅配カーに搭載されているエンジンが、ヤマト運輸に搭載されている宅配カーよりも性能がよければ、ヤマト運輸に勝てるのか…みたいな議論を真面目に行っているのに等しい。もちろんそんな訳はないよね。

 過去も今もきっと未来も、戦争の本質というのは、前線で必要とされる物資(兵隊や兵器も含む)を、如何に計画通り、滞りなく投入できるかのロジック勝負でしかない。派手な作戦やカッコイイ兵器のスペックに踊らされる人は多いけど、ある一部分で作戦や兵器の質が勝敗を左右することがあっても、戦略的に俯瞰してみると、結局戦争というのは、必要な物資を必要なだけ、滞りなく前線に投入し続けられた方が勝つという、単純な法則が見えてくる。
 そういう意味では、日本では国レベルの勝利とされている「日露戦争」が、世界的には「局地戦」という扱いでしかないのは正しい。あれはロシアが戦争から降りた…故の勝利だからね。多分現場の司令官達は、その意味をよくわかっていたんだろうと思うけど。

 という事で、以前も同じようなこと書いたけど、あの手の本で「太平洋戦争、日本はこうすれば勝てた」みたいなことを書いてる人は、その「勝利」をどう定義しているんだろう。ミッドウェーの作戦で勝てれば日本は勝利…なの?仮にミッドウエーという作戦レベルで日本が勝利したとしても、それは日本が「米国」に国レベルで「勝利」を収めたという意味ではないんだが、そういうの理解してるのかな…なんて思った。

コメント

 2000馬力級航空エンジン実用化のめどが昭和17年頃までについていたら、太平洋戦域の戦局が変わっていたことは十分考えられると思います。
 運送会社の運行条件のような法律制限はないので、各国とも戦闘機はスペックを限界まで追求します。
 太平洋戦線は、顕著な航空残滅戦ですから、制空権を獲ったものが制海して補給を確立し地域を制圧します。したがってロジスティクの成立(ロジック勝負)は、まずもって制空権の獲得かな思います。
 ただ、2000馬力級エンジンがあっても機体は零式ではないと思います。1000馬力級栄エンジンの零式とは空力負荷が異なるので、零式の機体では強度が無理かなと思います。
 また、まだ弾道ミサイルのない時代ですから太平洋戦域での勝利とは、ハワイ占領を含めるかどうかの問題はありますが、アメリカの軍事プレゼンスを太平洋から完全に排除しえた状態と想定して良いと思います。

 確かに「戦局」という点では変わっていたと思います。でも、2000馬力級のエンジンを積んだ艦上機が、逆に言うと、あれだけ長距離を飛べる訳がないので、そもそも事の始まりである真珠湾攻撃自体が全く別なミッションになった可能性もあります。昭和17年というのにはちょっとフライングですが。

 太平洋の制海権という話では、既に日本が鎖国している時代から太平洋を股にかけて捕鯨活動をしていたアメリカにとって、太平洋の制海権は、かなりの犠牲を伴ったとしても手放す事は考えにくいです。まして、アメリカの海岸線の半分は太平洋なのですから。

 故に
>アメリカの軍事プレゼンスを太平洋から完全に排除しえた状態
 という状態を、アメリカ政府が納得して従っているという状況が考えにくいなと思います。伊豆諸島、小笠原諸島程度の勢力圏ならともかく、それ以上の制海権を日本が望むなら、それは即、アメリカとの全面戦争に発展するだろうというシナリオ以外考えつきません。
 あの時代に日本が単独で原爆を持っているとか、そういうSFな設定でもないと、アメリカの軍事プレゼンスを太平洋から排除…という状況はあり得ないかなと思います。
 
 以前もどこかで書いたと思いますが、アメリカ人が作った太平洋戦争のシミュレーションゲームには、アメリカ本国が範囲に含まれていません。つまり、アメリカ人はあの戦争で自国が戦渦に巻き込まれる可能性は全くないと考えていた訳であり、おそらくそれは正しいでしょう。日本人は認めたくないかもしれませんが、アメリカにとっての太平洋戦争とは、対ドイツ戦争と同時に行っていた「1方面」の戦争でしかありません。つまり、アメリカ人にとって国の命運を左右するまでの戦争ではなかったという事になります。そういう状況でも、日本はボロ負けしました。つまり、私はそれだけ勝ち目がなかった戦争だったんだなと思っています。
 
 コレも以前にどこかで書きましたが、パワーバランスの比較では、今の海上自衛隊は、当時の大日本帝国海軍より強力です。でも、今の海上自衛隊では、アメリカ海軍はおろか、アメリカ第七艦隊にだって勝てる訳ないですよね。
 太平洋戦争を真面目に考えると、本当に全く勝ち目のない戦争に、観念論だけでズブズブとはまっていった、当時の日本人の愚かさをしみじみと感じます。

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