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▼2013年12月07日

空母入門/佐藤和正

R0320242.JPG お馴染み光人社のNFシリーズ文庫。Kindle化していたのでつい買ってみました。

 タイトルに「入門」とあるように、空母それぞれについての詳細スペックを記すというより、何故航空母艦が作られ、その後どのように進化していったのかを、それぞれの艦についての歴史を織り交ぜながら俯瞰するといった内容で、なかなか面白かったです。

 私は知りませんでしたが、船から飛行機を発進させ着艦させるというアイディアと実践は、ライト兄弟の初飛行からたった7年後の事だったんですね。その、世界で初めて船から飛行機を発進させ、着艦させることに成功した国はアメリカでした。

 そのアメリカの実験を知り、同じような船が出来ないか…と考えて試行錯誤したのが、当時の日本とイギリス。そして、そのアイディアは世界初の水上機母艦「若宮」となります。その後、日英では、水上機以外にも固定翼機運用を目指して改良が進み、イギリスでは改造空母フューリアスが生まれ、その後、日本は世界初の正規空母、鵬翔を竣工させます。

 そうなのです。空母を発想し制作し発明したのは、私達日本と、イギリス、アメリカです。この三国によって、航空母艦の基礎は作られました。

 また、本当に誤解している人が多いなと思うのですが、日本海軍は大艦巨砲主義を捨てなかった訳ではありません。むしろ当時の列強で一番速く戦艦に見切りを付け、戦艦建造を辞めたのは日本だったりします。
 なので、大和型戦艦を日本海軍の技術力の頂点と考えてしまうのは間違いで、例えば空母瑞鶴に搭載されている主機は、大和型よりも出力が大きく高性能なのです(アルペジオ8巻で重巡タカオが海域強襲制圧艦ズイカクのエンジンパワーに驚くのはそのせいなのです)

 その後の空母史は、恐らく皆さんご存じの通り。日本海軍によって生まれた「空母機動部隊」という編成は、今までの海戦を全く別な戦い方に変えてしまいました。海の主役は戦艦から空母になり、1回海戦を行う度に、おびただしい数の艦載機と燃料、そして人命を失う、ある種消耗戦となります。

 空母戦を陸上戦闘に例えて考えてみると、戦争の近代化というのは基本的に全て同じ事に気がつくはずです。
 戦場という空間に、機械化された火力を際限なくつぎ込む近代地上戦闘。地上での戦いが、鉄道やトラックなどを用い、古代の戦争では考えられない程の人員と兵器を集中運用出来るべく進化したのと同様、海の戦いも空母というプラットフォームを用いて、戦場におびただしい数の人員と兵器・火力を投入する事が可能となりました。
 かつての大艦巨砲主義時代に見られた、強力な主力艦が中心となって敵艦隊を殲滅するというヒロイズム溢れた戦いとちがい、空母同士の戦いは、まさに海上の国家総力戦。海の上の戦いは、より凄惨なモノへとシフトしてゆきます。

 そんな中、本当にどんな本を読んでも感心させられるのですが、アメリカ軍の臨機応変さは本当にすごいと感じます。
 太平洋戦争でアメリカが日本に勝った理由は、暗号解読に成功したからとか、そもそも国力がすごかった…などと、今の日本人は老人も若者も負け惜しみなのか、アメリカが戦争で勝ち続けている根本の原因を考えようとしません。

 アメリカが第二次世界大戦で勝利し、冷戦でも勝利し、世界唯一の超大国になった理由は、アメリカ人が常に戦争という事象に対して、いつも極めて誠実であるからなのです。

 そんな事を考えながら、空母の歴史について楽しく学べました。光人社NF文庫は結構当たり外れが大きいのですが、こちらの本はなかなかよかったですよ。

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